【秋田の古民家活用】世代を超えて語り合う。学生×大人まちづくり座談会「土鍋deごはん」にお邪魔してきました

先日5/28(土)に秋田市内の新屋(あらや)で開催されたフリートークイベント「土鍋deごはん」に主催者の方よりお誘い頂き参加してきました。

簡単にですがイベントの概要と当日の様子をレポートしたいと思います。

目次

学生×大人のフリートークイベント「土鍋deごはん」とは?

世代を超えて考え、語り合う。学生×大人まちづくり座談会「土鍋deごはん」にお邪魔してきました

今回参加させて頂いた「土鍋deごはん」はイベントの企画運営を行うまちづくりラボさん主催のイベントで、今年2016年2月に行われた「こたつdeみかん」に続くフリートークイベント第2弾

参考:参加型マーケティング研究所 まちづくりラボ

まちづくりラボさんは「人と人、地域と地域を繋ぎ今ある資源を活かしたまちづくりをする」を理念として掲げており、今回のイベントも世代を超えて「本当の意味でのまちづくりって何だろう?」を考え議論し、実際にこれからの地域事業に活かしていくためのアイデア創出やきっかけ作りを行うための場として開催されたもの。

参加者は30〜40名程で、地元新屋周辺の人を始め、秋田県内の農家、社会人、学生等。様々な世代・業種の方が参加されていました。

世代を超えて語り合う。学生×大人まちづくり座談会「土鍋deごはん」にお邪魔してきました

企画の名前にもある通り、今回のイベントでは土鍋ご飯に加え、地元秋田の新鮮な朝採り野菜や秋田ならではの食材が参加者に振る舞われました。

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食事や食材の話は記事後半でもう少し紹介します。

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会場は古民家「旧渡邉幸四郎邸」(秋田市新屋)

イベントが行われたのは、秋田市新屋にある旧渡邉幸四郎邸

老朽化も進んでおり長らく使われていなかった民家のようですが、最近地元のNPO法人等の活動により改修がなされた建物とのこと。これからどう活用していこうかというタイミングで、今回のイベントの主催者まちづくりラボさんが管理人さんや関係者の方と交渉し、イベント会場として利用する運びとなったようです。

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イベント当日は地元の方らしき人が「今日何かやってるの?」「綺麗になったね、お店になったの!?」なんて声をかけてくることもちらほら。

長らく使われていなかったものの地元の人にとっては馴染みの景観でしょうからねー。

入り口が開かれ、人が集まる旧渡邉幸四郎邸に非常に興味を持ってくれている様子でした。

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中はこんな感じ。

以下写真右に見える畳の部屋(見える範囲よりもう少し奥まで)がイベントで利用されたスペースなんですが、改修により畳が張り替えられていて非常に綺麗な状態。

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かなり天気が良く日差しが強い日だったんですが、建物の中は風通しも良く非常に過ごし易い温度でした。

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かえるの鳴き声が響く内庭(人が近寄ると鳴き止む不思議)。

内庭の景色含めての古民家ですね。風情があります。

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なんでもない家の片隅さえも味わい深い。この雰囲気、たまらなく好きです。

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【イベント開始】若手農家・女性起業家によるプレゼン

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冒頭2名のプレゼンターによるプレゼンでイベントはスタート。

最初にお話してくれたのは秋田県大仙市で活動するきらきら農園代表の高橋はるかさん。就農6年目の現在26歳。

今年2016年から同じく若手農家小松瑞穂さんとAgri Girls Akitaを結成し、農業の楽しさを若い世代にも伝えていこうと精力的に活動されています。

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Agri Girls Akitaのお二人(左:小松瑞穂さん、右:高橋はるかさん)

「どうしても農業は暗いイメージを持たれがち、若い人の関心も低い。」
「自分たちが楽しさ・魅力を発信していくことで農業界を盛り上げていきたい。」

と語る高橋さん。最近は地元のラジオを始めとするメディアでも注目され始めています。

現在はFacebook「きらきら農園」で日々の活動の様子を毎日更新中とのこと。まだまだ始まったばかりのプロジェクトですがとにかく熱く、勢いもあり、今後の更なる活躍が期待されます。

もう一名は着物リメイク事業を行う和〜夢(わーむ)さん。

自分たちは親から多くの着物を送られ嫁いだ世代。最近では着る機会も減り、若い人が着物を必要としなくなってきてしまった。捨てるのはもったいないし、どうにかして活かしていけないかとメンバー8人を集め着物リメイクを始められたとのことです。

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日本の文化である着物を後世にも伝えていきたいというだけでなく「親から子へ気持ちを伝える」そのお手伝いをしたいというお話が非常に印象的でした。

以下は持ち寄られたリメイクされた着物の一部。

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イベント中唐突にリメイク着物の試着会(撮影会?)が行われたりもしました。

着物独特の生地に興味関心を示すきらきら農園の高橋さん。

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僕ら世代からすると着る機会がないことはもちろんなんですが、着物の素材にやはり馴染みがないんですよね。

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シルエットやデザインをモダンにしても、普段の洋服とは違った雰囲気を与えてくれるなと感じました。

生地の透け感だったり、色合いが良い意味で見慣れない感じ。古民家の雰囲気と良く合います。

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リメイクによって若い世代に着物を受け継がせ、想いを伝える手伝いをする。

非常に素敵な取り組みだと思うので、今後更に活動の幅を広げて頂きたいところです。

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改めて実感。地元秋田の「食」の魅力

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秋田市仁井田あいばやさいさんのカブ

プレゼンの後、参加者全員による意見交換の場があり、それが終了するといよいよ土鍋ご飯の時間。

まちづくりラボの皆さんの尽力により、地元秋田、会場周辺の生産者さんから提供された食材が豊富に取り揃えられました。

味噌醤油は会場すぐ近くの森九商店醸造さんのもの。森九商店さんの敷島ブランドはシッカリした旨味を感じさせつつ塩分控えめで後味はサッパリ。新鮮な野菜の素材の良さを邪魔しません。

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見た瞬間に驚いたのは森川農園さんのアスパラ。

とにかくデカイ!!!

大袈裟ではなく30cmはあるんじゃないかなという大きさ(隣にある卵は普通にLサイズくらいの卵です)。はじめて食べさせて頂きましたが、味もとても濃厚で凄く美味しかったです。

参考:森川農園 – morikawanouen

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そして個人的に一番衝撃を受けたのが、秋田県内にかほ市象潟町本郷にビニールハウスを構えるキサカタグリーンファーム(代表:竹内久夫さん)のレタス。特筆すべきはその鮮度、そして食感。間違いなく僕の中で

これまで食べきてたレタスの中でNo.1

でした。主催者佐々木さんからの紹介で「レタスが主役なんじゃないかと思えるくらい」という表現があったのですがまさにその通り。ドレッシングをかけてもシナっとならないと生産者竹内さんが自賛するそのレタスは、みずみずしさとシャキシャキとした肉厚な食感が素晴らしい。

日々研究、品質改良に努めているため大量生産は難しいようですが、ハウスでの直接販売の他、にかほ市内の道の駅象潟(ねむの丘)等でも手に入れることが出来るようですよ。

参考:道の駅象潟「ねむの丘」

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他にもしいたけ、カブ、長芋など。紹介しきれない新鮮な秋田の幸があれこれ。

素材が良いので調理は軽く炙るだけ。味付けは塩、醤油、味噌だけで十分でした。

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そして主役のご飯。

お米はプレゼンされた高橋はるかさん代表務めるきらきら農園のあきたこまち。

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茶碗持ちながらプルプル片手で撮ったので画質若干アレですが、色つや香りがとても良いご飯です。

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美味しいおかず沢山あった中でこんなこと言っていいか分かりませんが、このご飯なら漬物あれば白飯だけで3合はいけますね。ツヤツヤふっくらでみずみずしい。

土鍋で炊いたご飯ってなんでこんなうまいんだろうなー。

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野菜の他にも参加者の方によって秋田らしい食材が持ち寄られていたこともあり、ご飯のお供には一切困りませんでした。僕は近くにいた芋焼き職人美大生のおかげで芋ばっか食べてましたが。

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他愛もない話をしながらときに真面目な話も交え、地元の食材楽しみつつ古民家でのんびりご飯。

秋田にいてもこういう機会は普段なかなか得られないので、非常に良い時間を過ごさせて頂きました。

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【まちづくりラボの考え】これからを担う若い世代をサポートしていきたい

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イベントを主催されたまちづくりラボ代表の佐々木美郷さんに直にお話伺うと

「時代の流れと共に地域での交流が希薄になってきていると感じる。」
「私たち大人は若い世代の声をもっと拾える仕組みづくりであったり、場を提供していくべき。」

と語ってくれました。

この佐々木さんの考えには僕もすごく同意で、地域を盛り上げていくため必要なのって「その地域の人自身が自分たちの魅力を(客観視して)認識すること」そして「若い世代の声を拾い、まちづくりの主役になってもらうこと」だと思うんですよね。

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実際今回のイベントでは当日振る舞われた野菜の調達やら会場の準備の多くを学生さんに対応してもらったとのこと。

必要な段取り全てを大人が済ませ、単純作業のみ学生に頼むのではなく、当日の出来不出来やイベントの質そのものに影響する部分を学生に委ねる企画の進め方は凄く良いなと感じました。

今地方に必要なのは、地元の人間自身が「魅力を体験する場」

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あと個人的に印象に残ったのが、プレゼンの際プレゼンターお二人とも口にしていた「こういった場(話をさせて頂く場)を用意してくれたまちづくりラボさんには本当に感謝している」という言葉。

自分たちの商品や取り組みをどう広げていけば良いか分からないと悩む秋田の事業家は本当に多いんだなと改めて感じました。これは以前以下の話の中でも感じたことです。

やっぱり秋田の女性ってWebの活用と言われても良く分からない方が凄く多いんです。
仕事柄秋田でお仕事をさせて頂いているとWebを使うことだったり、情報発信に関する相談って凄くたくさん頂くんですね。

参考:働く秋田の女性の暮らしにイロドリを。オフィスデザインファーム代表 Webデザイナー「遠藤貴絵」さんインタビュー(後編)

例えば、今回アスパラを持ち寄って参加された森川農園さん。

若手農家の方でご自身のブログも頻度高く情報発信されている方なんですが、正直な話僕は今回のイベントで初めて存在を認識しました

でも決して一個人一農家の方が行う営業・販促活動として不十分だとは思いません。むしろ秋田の中では精力的に行っている方だと思います。

ここに今回のイベントのテーマであるまちづくりのポイントがあるのかもしれません。

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昔からの付き合いであったり慣習ばかりに身を委ね、若い考え、新しい魅力を地域全体で積極的にピックアップしようとしなければどれだけ良い商品・サービスも埋もれてしまいます。

そうならないために必要なことは何か?それはおそらく地元の人間自身が

自分たちの街の“今”の魅力

が何なのかを知ること、そしてそのための機会を設けることが必要です。

当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、活気が失われている地方ほど自分たちのことを客観視出来ていません。それはおそらく常識にばかり捉われ、今を知る努力が足りてないから。

意外と地元の良さを地元の人間は知らないもの。

僕ら地方にいる人間が想像している以上に、自分たちの魅力を再確認(認識)するための「体験」の場というのは必要なのかもしれない。そんなことを今回のイベントを通じて改めて考えさせられました。

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おわりに

「これからを担う若い世代の声を拾い上げること」
「自分たちの地域の魅力を知ること」

佐々木さん代表務めるまちづくりラボの活動は、地域の魅力を外に伝えるためにも、地元の人間が自分たちのまちの魅力を再認識し誇りを持つためにも非常に重要なアプローチと言えそうです。今後開催されるイベント・取り組みからも目が離せません。あとは今回会場となった旧渡邉幸四郎邸がどう活用されていくのかにも注目ですね。

以上、秋田市内で開催された学生×大人のフリートークイベント「土鍋deごはん」参加レポートでした。

まちづくりラボ代表の佐々木さん、メンバーの皆さん、楽しいイベントにお誘い頂き本当にありがとうございました。そしてお疲れ様でした。

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おまけ

イベント終了後片付け中のひとこま。写真は参加した美大生お二人。

ちなみにイベント用の格好…では全くなく、共に普段着とのこと。美大生すげえ。

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彼女たちの作業を眺めていると、ふと緩衝材として使われていたクシャクシャの古い新聞紙が気になり

一枚手にとって良く見てみると…

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……天皇…崩…?

世代を超えて語り合う。学生×大人まちづくり座談会「土鍋deごはん」にお邪魔してきました

(右から左へ)昭和元年12月26日……あれ、これもしか…

昭和元年は何月何日から 01

あ…

昭和元年は何月何日から

崩御でした。

【崩御:ほうぎょ】天皇、皇帝、国王、太皇太后、皇太后、皇后、その他君主等の死亡を表す敬語。

引用:崩御 – Wikipedia

あと全然関係ないですが

嘘みたいにでかいアリにも出会いました(爪3倍サイズ)。

IMG 0663 fin

古民家ってすごい。

おわり。


まちづくりラボ フリートークイベント 学生×大人まちづくり座談会「土鍋deごはん」

【主催者・登壇者】




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