ある友人との会話。
「にかほ市ってどこにあるかわかる?」
「確か秋田県の下の方にあったような・・・。」
秋田県内外の出身問わず、自分が住んでいない街については、意外と知らないことが多いようです。
男鹿であればなまはげ、大館は秋田犬、横手は焼きそばなど。有名なものがある街以外にも魅力的な街はたくさんあります!!
にかほ市「TDK歴史みらい館」
さて、今回紹介するTDK歴史みらい館があるのは、山形との県境に位置し、日本海と鳥海山に囲まれた自然豊かな街、にかほ市。
秋田駅から電車で1時間、仁賀保駅から10分ほど歩いて住宅街を抜けると・・・
そこにはなんとも近代的な建物が。
黒とグレーを基調としたデザインが、にかほ市の自然の色合いと調和していてカッコいいですね。
リニューアルの背景
TDK歴史みらい館は、TDKの創業70周年を記念して「TDK歴史館」として建設され、TDKのモノづくりの歴史や発展を紹介するものでした。そして80周年を機に全面リニューアルを行い、現在の「TDK歴史みらい館」として、2016年10月7日にオープンしました。
TDKの歴史を紹介すると共に、TDK100周年である2035年の未来は、どんな世界になっていて、どんなことができるのかを一緒に考え、体感することができます。
ペッパーくんが秋田弁でお出迎え!?
早速中に入ってみると、出迎えてくれたのはペッパーくん!
しかも英語や中国語のみならず、秋田弁で館内の紹介をしてくれます!ばっちりグローカル対応!
県外の人でも解読できるような簡単な秋田弁と、県内の人向けの濃い秋田弁の2種類があり、タブレットのアイコンを押すとそれぞれ聞くことができます。ぜひ解読に挑戦してみてください!
モノづくりの歴史を学ぶ「歴史ゾーン」
TDK歴史みらい館は、”歴史ゾーン”と”みらいゾーン”の2つに分かれています。
歴史ゾーンでは、TDKの創業の背景や、電気機器の開発や発展について学ぶことができます。
2勝98敗の男、斎藤憲三
TDKの創業者である斎藤憲三は、秋田県由利郡平沢村(現にかほ市)に生まれ、故郷の貧しい農村の発展のために生涯を捧げました。
TDKの創業、衆議院議員に当選し科学技術庁の初代長官に就任という華々しい経歴を聞くと、「なんでもこなせるスゴイ人だったんだなぁ」という印象を抱いてしまいます。
しかし、その2つの成功以外は全て失敗と言われるほど挫折の連続だったそう。失敗しても決して諦めず行動し続けるその生き様から、現代を生きる私たちが学べることはたくさんありそうですね。
TDKの4大イノベーション
歴史ゾーンの見どころと言えば、TDKの4大イノベーションについてです。これまでにTDKが開発した製品の中で、会社や国の発展に大きく貢献した発明を、4大イノベーションとして紹介しています。
その一つである積層チップ部品は、私たちが日常に使っているあらゆる電子機器の中に組み込まれており、電子機器の小型化や軽量化に大きく貢献しています。
※↑の画像の赤く囲んである部分にある細々した部品が積層チップ部品
例えば、スマートフォンには500個の以上の積層チップ部品が入っています。
今まで知らなかっただけで、自分の日常生活の多くが、TDKの製品によって支えられていることが実感できます。
他にも、VHSやMDなどの記録メディア、黒電話やブラウン管テレビなど、知っているけど実物は見たことのないもの、子供時代を思い出す懐かしいものまで、様々なものが展示されています。
今の子供達はこの黒電話の使い方が分からず、ボタンの部分を回さずに押すんだそうな・・・。
懐かしい〜。
15分くらい普通に遊んでしまいました。
続いてみらいゾーンについて紹介します!
2035年はどうなっている?「みらいゾーン」
みらいゾーンでは、TDKが100周年を迎える2035年の生活を体験することができます。
スマートハウスゾーンでは、冷蔵庫や照明、鏡などの生活に使われるあらゆるものがIoTで繋がり、AIによってより生活が便利で快適になる未来を体験できます。
専用のタクトを、横に振ったり回したりすることで、部屋の照明が点いたり、カーテンが開いたり、音楽がかかったり、今日の天気が伝えられたり・・・
もうなんでも椅子に座ったままでできるじゃないか!!
将来的には自分の健康状態を鏡でチェックし、健康状態と冷蔵庫に余っているものからその日の献立を提案してくれるんだとか。
あと十数年で今の生活がガラッと変わるなんて・・・想像が膨らみますね。
宇宙に体感!?最新のデジタルアート
みらいゾーンの最大の見どころは、インタラクティブ マグネティックフィールド シアターと呼ばれる、日本だけでなく世界で活躍中のウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」とコラボした体験型シアターです。
部屋の中に入ってみると、全面がスクリーンのようになっていて、オーロラや宇宙空間が映し出されます。
この作品のテーマは「磁性」の可視化。
TDKの強みである磁性について、実際に壁に触れると映像が変化するインタラクションを通して学ぶことができます。
筆者が行ったときには、子供が1時間くらいこの中で走り回っていましたが、その気持ちがわかるくらい大人でも楽しめる空間です。
他にも2035年の街を表現したジオラマや、陸上競技100mの世界記録保持者であるウサインボルトと競争ができるブースなどがあります。
再生可能エネルギーが当たり前となった街。
電気自動車の充電も走りながらできます!
ウサインボルトと競争して、まさかの肉薄!
自分の理想の未来を考えるコーナーも。
やっぱり未来のことを想像するのはワクワクして楽しいですね〜。
展示内容は不定期で更新!
館内の展示内容は、毎回同じというわけではなく、不定期で更新されます。今回ご紹介した展示物がない可能性もありますのでご了承ください。
「行ったことはあるけれど、しばらく行ってないなぁ」という方は、久しぶりに行ってみてはいかがですか?
誰と行っても楽しめる新感覚のミュージアム
取材でTDK歴史みらい館を伺ったときに驚いたのが、来場している人の年齢層の幅広さ。家族連れやカップル、ご高齢の方まで、老若男女あらゆる人が展示を楽しんでいるところを何度も見かけました。
「テクノロジーも歴史もあまり興味ないなぁ」と思っていた僕も、気づけば3時間ほど滞在していました。
また改めて、秋田の魅力的な場所を一つ知ることができました。
今回の取材でご協力いただき、丁寧に館内を案内してくださったTDK歴史みらい館のスタッフのみなさん、本当にありがとうございました!
施設 | TDK歴史みらい館 |
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住所 | 秋田県にかほ市平沢字画書面15 |
URL | TDK歴史みらい館 |
営業時間 | 10時〜18時(最終入場17時半) ※月曜休館(祝日の場合はその翌日) |
入場料 | 無料 |
補足 | 駐車場あり |